Jacobin's Memo

インターネットテクノロジーをグローバルで展開している仕事です。

Kindleから得て、Amazonで失ったもの。

Amazonオーナーズ制度でkindleが無料で読めることを試して以来、 kindleで読むことの読書習慣がついた。不思議なものだ。今まではkindleでしか読めなかった英語の書物などを読むだけのデバイスであったのであるが、無料で読めることで自分では普段買わないような本を興味深く読み、移動中で見たり、手元近くに常にkindleを持つようになったのである。

 

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kindleを使い出してから、別の読書習慣も変化した。どちらかというと活字中毒なので、興味のありそうなテーマを探し、著者の経歴、ネット上での著者の評価、本のレビューなどで簡単に購入を決めていた。現在は3世代目のkindle Paperwhiteは、3Gなのでネット環境に常時接続している。そのためkindleのレコメンデーション機能が常に見ることができ、興味ありそうな本が次から次へと見えてくる。一般的にはkindleの書籍は、サンプルをダウンロードすることができる。そしてサンプルを読んで、自分が知りたい情報のレベルであるのか、文章の表現でその人の知的レベルを想像するなどして、本を購入することに変化した。 Amazonが出る前の時代、本屋さんである程度見て本を購入する購買行動と似ている。なので、今となってはAmazonで本を買う場合でも、本屋さんや図書館に行って本の概要を自分の目で知りたくなるのである。 kindleがあまりに便利で慣れてしまったが故に、本を買う行為が本来のものに変化してきたのである。

 

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もう1つ別の理由もあるように思える。最近Amazonで本を買っても、いまひとつ納得できない本が多いと感じる。本の品質が下がっていることなのか、買って損したと思うような本も多い。また出版社の人に聞いたのであるが、海外の文献の翻訳本も減っているらしい。理由は簡単である、売れないからである。そのため出版される場合でも、極めて高い値段になっていることが多い。この写真の本などは2,730円する。昔から常に興味あるテーマなだけに、今までであればすぐAmazonで購入したと思えるが、 kindleでの習慣により一度見ないことには購入できなくなってしまったのである。その為、図書館で借りることにした。最近図書館をよく利用するが、図書館で借りても良い本は100%購入するのである。そしてこの本は、最寄りの図書館にはなく、区内の別の図書館から本は到着した。最寄り駅の始発電車を待ち、座って本を読み始めた。どうだろう3つほどの駅を行ったところで、この本は買うのやめようと判断した。唯一2章の部分だけが、知らない情報がありそこを熟読した。しかしその部分だけでこの本の値段を払えるという判断はできなかったのである。

 

kindleのコマーシャルがウザイというネット上のつぶやきも多いが、私の友人で本など全く読まないと思える人間が、 kindleでモーパッサンを読んでいた。理由はkindleのCMがカッコイイと言う理由である。さすがAmazonがすることである、その辺りも見越したマーケティング展開なのであろう。しかし私としてはAmazonで本をポチポチ買うこと自体が中毒症状になっていたのであるが、 kindleを買って本来の読書習慣がよみがえり、 Amazonで本を買うことが極端に少なくなったのである。他の人はどうなんだろう。。。