Jacobin's Memo

インターネットテクノロジーをグローバルで展開している仕事です。

津田大介のビジネスモデル

先週末、初めて生の津田大介さんの講演を聞くことができ、いろいろな面でインスパイアされた。今まで正直言うと、津田大介さんを「トレンディーなジャーナリスト」程度に見ていなかったかもしれない。そのため、彼の著作も1冊しか読んだことが無い。ネットでもあまり検索もしたことがない。そのため既知の情報が多いかもしれないですが、非常に重要で示唆に富むスピーチであり、自分のメモの延長として、記憶が鮮明な内に、最近愛用している口述筆記ソフトを利用し作成する。

f:id:hiroxshi:20131207115654j:plain

 

<講演概要>

まず、津田大介さんの自己紹介でプレゼンテーションを始まった。早稲田大学を卒業後、彼のビジネスキャリアはパソコンライターから始まった。 1997年のことである。確かにそうだと思ったのが、振り返ると、この年は時代のターニングポイントでもある。まずはインターネットの始まり、 Windows 95が出た年だ。また大きな事件も発生している。オウム事件、神戸震災等、20年も昔のことであるが、今でもこの年の空気感を鮮明に覚えている。津田さん曰く、インターネットが始まった時代に大学生活を過ごしていた世代。大学の24時間インターネットに接続しているコンピュータールームに住み着いていたようである。世代的には団塊ジュニアと呼ばれる世代。就職を失敗したと語っていたが、学生が多かったので非常に厳しい就職戦線だったと思われる。インターネットが始まった世代としてIT業界での同世代の有名人も多く、元ライブドアの堀江さん、サイバーエージェントの藤田社長、にちゃんねるのひろゆき(高校も北園高校で同窓)、 Googleを作ったラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンやなどの創業者である。

 ソーシャルメディアをどのように考えれば分かりやすいと言う問に対し、昔の駅の伝言板のようなものだと説明した。確かに昔は、駅に伝言板が必ずあった。私も最後にいつ見たのかという記憶をたぐり寄せたが、 8年ほど前に市ヶ谷の駅で見たのは覚えている 。しかし、あれだけ日本中の駅にあったものが一瞬にして無くなっているのに今更ながらびっくりするのである。駅での呼び出しなど、懐かしい昭和的なものが携帯電話で絶滅してるんだなという感じ。津田さんは、伝言板が現在のTwitterと同じような状況だと説明。ある人がある人に個人的な待ち合わせの都合や状況を伝えるために伝言板を利用するのであるが、その伝言板の前を通る人には全員目に入る。もしかしたら、そこで何か遅延情報などの自身にも影響する情報があるかと、当時の記憶を思い出すとチラチラ自分でも見ていたような気がする。その伝言板がインターネット、 Twitter上では世界中の人がその駅の伝言板をリアルタイムで見ているような状況だという。確かにいろんな炎上事件がネット上で発生するが、このメタファーで考えると極めてわかりやすいものである。

f:id:hiroxshi:20131208100419j:plain

 

さてツイッターがソーシャルメディアかというと、私も簡単には答えられない。Twitter社の上級副社長によると「われわれはソーシャルメディアでは無い。情報・ニュースネットサイトだ」というコメントらしい。(この情報はネットで確認出来ず。。。)

事業仕分けの時のニコニコ動画の中継について触れた。 98%はゴミの情報が、ニコニコ動画のタイムラインを流れるが、残りの2%を拾い集めて整理することにより、 1人の優秀なバーチャルな事業仕分け人ができるとのこと。改めて、ネットの力は凄い。

続いて前回の参議院選挙について、津田さん自身がYahooやGoogleの中の人に聞くと、選挙前日の夜のアクセス数は半端無いものであったらしい。いろいろなデータを見てもネット上のアンケートが、 1つの選挙区を除いて全て当落予想を当てていたらしい。故に今国民はネット上で情報を探して自分なりに判断して投票することが、実際の結果と近くなっている時代になっているということである。また今回のネット選挙について、影響力のあるメディアは何だろうかということであるが、調査結果によるとTwitterでもFacebookでもなく動画によるものであったらしい。その動画も候補者がどこかで演説をしている映像で、それを見て自分の主義主張と併せて判断したようであるとのこと。この選挙については、私も一言あったので、暇な人はこれも見てください。

参議院選挙2013の歩き方①

 

<北國新聞論説委員の井上正夫のジャーナリズム>

これは単純に私が知らなかったのと、極めて納得したの、解説など勿論出来ないので、ネット上のデータを貼付させていただく。

ジャーナリズムとは、

「ニュースのはたらきは一つの事件の存在を合図することである。真実のはたらきはそこ(ニュース)に隠れている諸事実に光をあて、相互に関連づけ、人びとがそれ(関連付け)を拠りどころとして行動できるような現実の姿を描き出すことである」

1 ある社会共通の価値観や行動指針となる世論を形成するために
2 同時代に起こっているありきたりではない出来事
3 批判精神をもって価値判断し
4 その結果をニュースとして、あるいは評論として
5 より速く
6 より正確に
7 より公平に
8 社会に伝えていく
9 報道あるいは言論活動

 

<他メディア、間メディア>

安倍首相がテレビ局の放送はフェアではないと言うことで、ネット上での党首討論を実施した。 8時からのゴールデンタイムに放送したということで初めてだということもあり180万人が視聴したとのことである。しかしながら前回の参議院選挙では、国民の関心が低くなっていたものと思われ、党首討論をネットで視聴したのは9万人だったということである。なので、単体のメディアでは影響力がいつでもある訳では無いとのこと。

最近の若者だけではなく、人それぞれ自分の趣味趣向が細分化されている。TVを持っていないという人も多い。そのような様々な複合的環境では、単独のメディアで情報の浸透やムーブメントを作り出すことが難しい。そのため他メディア、間メディアを有効に活用して、 1つの情報を他のメディアにパクらせて恣意的に盛り上げていくことも必要である。講演の随所で、自分でテレビに出演させて貰いながらと言いつつも、テレビ局の限界について頻度高く言葉に出た。しかし、テレビ局の視聴率とその影響力の大きさについては否定していない。視聴率1%が100万人であり、せいぜい流行ってるネットでも10万や20万の視聴者やフォロワー、上地雄輔のブログがギネスブックに登録されているほどのアクセス数であるがこれが210万。上地雄輔クラスだと視聴率15%程のバラエティ番組にも出てたりする。それは1500万人。更に、週刊文春は64万部の発行数であるが、たびたびスクープを発表する。それがネットで広がる、さらにはテレビで取り上げられる。そして大きなムーブメントにつながる、ということが他メディア、間メディアということでありそうである。

ソーシャルメディアが影響力を持つようになることについての整理。まずは情に訴える内容であること、共感が得られるもの、そしてリアルタイム性。この3つが効果的にミックスした時に影響力が最大になるとのこと。

興味深い定義として、「ギャップがなくなるまでコミニケーションは続く」人それぞれの多様性を認めながらも最終的にはギャップを解消するために収斂していくということ。改めて聞くと納得。

津田さん自身の情報の得る方法論であるが、 3割がネットからの情報、 4割が人づての情報、残り3割は本の情報であるとのこと。本はとても好きそう。特に新書が好きなようで、頻度高く読んでる感じがして好感持てた。津田さん自身の情報収集の量は一般人のものとは違う。なので、3割を本で収集するということであれば相当な量の本を読んでいることであるいう想像がつく。しかし、最近自分の周辺で流行っている、「 Kindleで本を読んでいて自分の世界に入ってる」ような事は無さそうであった。ネットと現実社会をうまく組み合わせて理解していくということが今回の講演の根底だったように思える。

 

<津田大介のビジネスモデル>

ここからは私が感じた感想をメモする。

テレビで見るより、相当な存在感があり、とてもカッコイイ感じがした。 40歳なので多少太ってきているとは言え、やはりメディア受けするような風貌であった。テレビだとトゲトゲしく発言もそう聞こえるが、実際は温和な感じで落ち着いている。

スピーチがとても真面目なスタイルで、一生懸命で、きちんとしたデータやロジックに裏打ちされて極めて丁寧なプレゼンテーションだと感じた。外資系的なトレーニングされたアイコンタクトを交えた嫌らしいプレゼンテーションでは無く、聞いてる人の瞳をじっと見て語りかけるようなスピーチは、「はい。有料メールマガジン申し込みます」と言うように応援したくなり、もっと話を聞きたくなるような雰囲気にさせる。

今までは、ネットで起きている事象を解説する評論家のように感じていたが、自らチェルノブイリ、東北大震災などを取材し考察した話は極めて説得力があり、私のイメージが一新した。ネット上を自由に走り回れるジャーナリストと定義した方がいいかもしれない。確かに今後の津田さんの関心ある情報を知りたくなる。この活動を支援する意味でも、正直、著作やメルマガを購入したくなったのは私だけではないだろう。

テレビにあれだけ出ているとは言え、文化人枠なのでギャラは、ほとんどもらえないと語っている。3万円程度らしい。本も出版する準備を考えると割の合わないビジネスであるとも言っていた。確かにジャーナリストなので本を出版する上では、徹底的に調査し、丹念な裏付けをとったりして、莫大な時間がかかるのであろう。

現在7人のスタッフを抱えている会社をマネジメントしている。その生活を支えているのが、有料のメールメールマガジンであるらしい。月額630円で、現在は8000人ほどのユーザーがいるとのこと。この収入で従業員の給料、ウェブサービスの開発者などのを賄っているらしい。本人曰く、大きな穴を自分で持ってそして自分のスタッフで埋めると言う事繰り返してると笑っていたが、実際はベンチャーを立ち上げるよりも難易度が高いビジネスモデルを成功しているように思えた。

テレビ局の役割は限定的になってきたとしていたが、話はほとんどテレビで扱われている内容の焼き直しとも感じた。わかりやすく伝えるキュレーターとしての役割は勿論大きいが。ガラポンTV保有者になると全てのチャンネルをダイナミックに検索出来、SNSでの情報探索でリンクすることにより、通常のテレビ体験(同時進行性は無い)とは異なり、テレビで相当な情報を得ることも出来る。より一般的になると、今後はより深い洞察が求められるだろう。

今のオフィスは高円寺。その前は神保町にあったらしい。神保町ではまだサラリーマンの格好してる人がいたが、高円寺のカジュアルな雰囲気が好きらしい。杉並区の多様なコンテンツをレスペクトしている様。しばしば高円寺で飲んでいるらしい。「ガード下で飲んでるの見かけたら、声かけて下さい!」この辺りの空気感を知っている人には、一発でファンにするキラートークだ。いろいろな活動もあるが、津田大介自身が良質なコンテンツと感じる。

 

f:id:hiroxshi:20131208105347j:plain

ということで、暗示にかかったかもしれないが、私もメルマガ購入しました!mobiでの画面も洗練されていて、とてもいい感じです。内容も確かに、ブログでも、テレビでも、新聞でも、週刊誌でも無い感じ。サイトも含めてデザイン的なセンスは高い。しばらく要フォローで見て行きたいと思います。(終)

 

ここまでで、自分の手帳のメモを見て約30分ほどで口述記録した。文字数で4,657文字であるので原稿用紙11枚半分、修正や推敲はこの時間外であるが、この時間でテキスト化できるというのも驚愕であり、肩こりがしないし滑舌良くするトレーニングもなる。 

 

 プレゼンテーション中の撮影や、録音は禁止されていたので不正確な部分もあると思いますが、ご了承お願い致します。